KAMAS

カシュガルから国境、国境からキルギス最初の目的地オシュまでローカルのバスやタクシーで刻んで行こうと思った。
カシュガルからオシュへの国際バスも走っているのだけど50ドルもする。もしローカルで行けばカシュガルからオシュまで20ドルほどでおさまる。浮いたお金でおいしいものを食べようと思っていた。
ただ、キルギスの国境に着いて知った事だけど、国境から近くの町に行くバスは全く走っていない。
仕方なくタクシーと交渉。キルギス国境からオシュまでなんと1000Ks(1ドル=約38キルギス・ソム)と言われてしまい、ここで25ドル近くかけてしまってはここまで刻んできた手間が惜しい。
なんとか600Ksまでまけてくれまいかと交渉するが2台しかいないタクシーは強気で、値下げに応じず交渉は決裂、タクシー共々どこかへ去ってしまう。
残る手段はオシュ行きの長距離トラックに乗せてもらうこと。
この辺りは陽が落ちるとかなり寒くなり、無数にいるトラック運転手は冷えた体を温めようとウォッカを飲みいい気分になっている。
道を歩いていてもトロンとなった目をした男に何人もすれ違い、また、酔っ払った男に無理やりバーに連れ込まれ、店内にはすでに酔っ払った男たち5、6人が楽しそうにテーブルを囲んでいる。
「ウォトカ」とグラスを差し出してくるが「いらん」と言う。すると男はポケットからお金を出し、このお金で「ウォトカ」を飲めと言うので「やっぱり、いらん」と断る。
向こうも酔っていて、同じ事を何回も繰り返すのでカメラを向けると各々ポーズを取り、撮り終えると無理な勧誘は収まる。
こんな陽気なドライバーにこれから先、電灯ひとつない峠道、身を預けなければならないことになる。
午後八時頃、出発。
午前五時頃、朝食の為、寄ったカフェのテレビから流れていた冬のソナタに緊張が和らいだ。
冬のソナタを見るのは初めてだったのに。